引き続き1年間のまとめをしているため、つなぎの記事としてこちらに来てから読んだ、中国を舞台とした小説を紹介いたします。
こちらに来てから特に経済小説を多く読む様になったのですが、その中でも深井律夫氏の小説は非常に勉強になりました。
氏は現役の銀行員であり、大学で中国語を専攻、おそらく業務上でも中国に関与されているものと思われます。中国のビジネスのみならず文化・言語にも造詣が深く、私のような中国初心者が中国ビジネスが何たるかを学ぶにはうってつけの小説です。
小説は現在3つ出版されており、うち2つは同じ主人公が出てきます。
どれも非常に面白くあっという間に読み終えてしまうのですが、私のおすすめは「巨大市場」です。
巨大市場 (角川文庫) (2013/03/07) 深井 律夫 商品詳細を見る |
中国企業による日系企業のM&Aがテーマで、中国におけるM&Aの制約やPMI(Post Merger Integration)の話などが非常に緻密に描かれています。
また、経済小説では小説の背景となる専門用語や経済に関する知識の説明にページを多く割く必要があるため登場人物の描写が淡白になりがちなのですが、本書については主要人物の特徴が際立っており、イメージを膨らませやすく、入り込みやすくなっていると思います。
かといって、ビジネスの描写がおろそかになっているかというとそんなことはなく、私はこれまで中国ビジネスに関与したことはないのですが、一部の話を中国人に振ってみても「あー、そういう話はよくあるよね」と言われ、そこからさらに深く突っ込んでいくこともできました。
中国人の共感を得られ、話のネタとなるくらい細かく描かれていると思います。
また私の場合は、「このレベルの本が書けるくらい、中国ビジネスについて詳しくなりたい」と、これらの書籍を目標として意識するようになりました。
引用文献も豊富でそれらも併せて読むとかなり中国ビジネス、文化に対する理解が深まるものと思いますので、これから中国に来ようと思う人には是非おすすめです。
覇権通貨 小説人民元 (角川書店単行本) (2013/05/16) 深井 律夫 商品詳細を見る |
↑こちらは、「巨大市場」の続編です。
通貨「人民元」がテーマです。