中国MBAに挑戦した夫婦のその後(仮)

北京大学MBAを修了したサラリーマンのその後や関心を持つようになった中国ビジネスに関する情報について、気ままに記録していきます。

中国大陸におけるVPN規制が強化される?

もともと2015年はMBAに費やす時間が減少してくることを予想していて、私の修士論文の調査結果をまとめていきながら中国の現状を語ろうと思っていました。しかし、2015年が1ヶ月終了した今もまだ本格的に執筆開始していません。

従い、今回も今後留学を検討する方向けのTipsを紹介したいと思います。VPNについてです。

先日、中国の英字新聞であるChina Dailyや中新網などに「Blocking VPN is for Internet safety: Official」という記事が掲載されました(こちらこちら)。

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概況と理由

内容は、健全なインターネットの発展のために新しい方法で中国のサイバーセキュリティを維持していく、と政府から発表があった、とのことです。すでにいくつかのVPNプロバイダのサービスがブロックされたとも報告されています。

要は海外の情報が規制をかいくぐって無制限に入ってくることを規制している、と私は考えています。しかし、BBCやCNNなどの英語マスメディアに関しては通常どおりアクセスすることが可能です(ちなみに、Wall Street Journalはアクセス不可)。従い、これらの規制によってSNSを介した個人ベースで発信されている情報を受け取ることは難しいものの、少なくとも英語ができる人にとってはまだまだ多くの情報を入手することが可能なのかな、と思っています。

もう一つの説は、中国のIT産業の保護です。

この”Great Wall”という中国特有のファイアウォールによって利用できなくなった国際的なサービスの代わりに、人人网(Facebookの代わり)、新浪微博(Twitter)、优酷(YouTube)などが独自の発展を遂げました。ひとえに規制によってこれらのサービスが台頭することを促したのです。その結果、これらサービスを展開する 百度やTencentなどは爆発的に利用者数を伸ばすことに成功しています。

中国にはこれまで民間で大きな成功を収めた企業がなく、中国発ブランドを作ることに躍起です。製造業はハイアールを除けば多くは海外とのジョイントベンチャーによるものがほとんどです。ITは海外企業と互角に伍していける産業の1つであり、中国としても外資に飲まれる前にまずは国内企業の育成を図りたい、という方針であることもあったのでしょう。

とはいえ、中国に在住する外国人にとっては不便きわまりない規制であることには変わりません。

VPN経由でないと利用できないサービス例

私が留学する前からGoogleFacebookYouTubeTwitterなどのサービスは中国大陸では利用することができず、VPNなどのサービスを利用して中国国外のサーバ経由でアクセスする必要がありました。

そして昨年、直接的な関連性は明確になっていませんが、7月頃にLINEやInstagram、一時的にはカカオトークなどのSNS、さらには DropBoxやOneDriveなどのクラウドサービスもVPN無しには利用できなくなりました。

この7月から始まった規制は、一説には7/1に発生した香港での対中政府デモが影響していると言われています。

そして昨年末、Gmailも利用できなくなりました(Googleが利用できないのにGmailが利用できていたこと自体が奇跡のような気もしますが)。

中国人のVPN利用状況

中国人の友人たちは、通常はVPNを利用することができません。なぜならVPNを提供しているサイトにアクセスすることができないためにVPNを利用する手段を手に入れられないからです。従い、海外に行った際にVPNサービスを契約するなどして国内でも利用継続するケースがほとんどのようです。

また、海外に友人がいない限りFacebookなどのサービスを利用している友人がいないのでこれらのサービスを利用するモチベーションが働かないのですが、ExchangeやDual Degreeなどで海外に友人を作ると彼らとのコミュニケーションのためにアカウントを作るケースが多く、中国帰国後も連絡を取る手段として利用するためにVPNを利用できるようにしてから帰国するようです。

とはいえVPNを使う、というのはやはり煩わしいものです。まずいちいちVPNに接続する、というひと手間がいることと、VPNは回線速度が通常と比べて遅い、ということです。ただでさえ中国の回線速度は速くないのに、VPNをかませることによってさらに遅くなるのは正直苦痛です。そのため、私や他のクラスメイトも中国にいる間はFacebookにアクセスする頻度は激減していました。

私が利用しているBlue Surfaceというサービスは今のところこの規制を受けていないようですが、この調子ですといつまで利用可能かどうかわからなくなってきました。

今後中国大陸に留学を考える方で、「毎日FacebookやLINEを見なければ発狂する」という方は、この辺りの情報の更新には常に注意を払っておくべきでしょう。

一旦中国に入ってしまうと新しくサービスを契約することが難しくなると思います。