中国MBAに挑戦した夫婦のその後(仮)

北京大学MBAを修了したサラリーマンのその後や関心を持つようになった中国ビジネスに関する情報について、気ままに記録していきます。

自転車への回帰

またまた少し前になりますが、各メディアで中国における自転車シェアビジネスについて書かれていました。2年ほど前から始まったこのビジネスの様々な問題が出てきたようです。

 

30年ほど前までの中国のイメージといえば、自転車に乗ったたくさんの人たちが北京の街を走っている映像、というのが定番でした。あの強烈なインパクトある映像はおそらく30歳以上の人であればすぐに思い出すことができるはずです。

f:id:t_tsubo:20170514191911j:plain

しかし経済の発展に伴い、自動車の普及が進んだことによって今ではその光景を見ることはできません。私が初めて中国に行った2004年でもギリギリその名残が見えた程度でしょうか。

 

一周まわって、という言い方になるでしょうか、今都市部では自転車に乗ることに実際的なメリットを見出すことができるようになったようです。

どこの国でも起こっている問題ですが、自動車の普及が進むと主に大気汚染と交通渋滞という2つの問題を引き起こします。その解決策としては公共交通機関の充実ということになるのですが、大都市の数があまりに多い中国において、東京と同等の交通機関の整備を進めることは困難です。

多くの国では自転車に回帰することでこの問題と向き合っています。

 

そこにスマートフォンなどのテクノロジーの発達によるシェアビジネスの普及がレンタサイクルにも波及し、中国で一気にブレイクしている、という状況です。

従来、現在でも欧米における同様のビジネスにおいては、シェア自転車はレンタサイクル会社が定めた所定のドックに置かれており、そこから借りてドックに返すというものでした。つまり自転車の借りる場所、返す場所に制限があったのです。

しかしながら中国におけるこのビジネスの特徴はどこでも借りられどこでも返すことができる、という点です。

詳細は各リンク先の記事に譲りますが、要はスマートフォンQRコード読み取り機能を活用して自転車に貼られているQRコードの読み取りが自転車ロック解除の機能を果たすそうです。ユーザーは自転車についているGPS発信器で近くの自転車を検索し、その自転車のIDを取得するとロックを解除されるためのコードが送られてくる、という仕組みとなっています。QRコードとそのコードの組み合わせで機能しているようです。

 

このビジネスに幾つもの企業が参入し、これらの企業に対して中国だけで10億ドル以上の投資が行われ、次のユニコーンがここから生まれる可能性もあるといわれています。

 

しかしながら、この便利さを逆手にとって日本ではあまり起こらないだろうと思われる問題も多く発生しています。

1つはロック解除後に自転車のQRコードを撮影してQRコードを削り取ってしまい、誰にも読めなくしてしまい自分専用の自転車としてしまう点です。これにより自転車を購入することなく自身の自転車を持つことができます(もちろん、鍵をかけるたびに課金はされますが)。

2つ目は自転車を返却する際に適当な放置の仕方をするため、歩道や車道をふさいでしまっていることです。他人のことをあまり考えない中国人らしいといえばらしいです。

 

このような問題が噴出した結果、北京ではこのビジネスの規制を検討し始めました。また

 

日本では主に自治体がこのようなサービスを実施していますが、特に東京においては地下鉄、バス網が充実しすぎているため、健康のためや自転車に乗ることを目的とする以外にはあまり需要がないのでは、と思っていました。

しかしよく考えると2020年のオリンピックに向けては、海外からの訪日客向け需要がかなり見込めるのではないかと思います。

その需要を取り込むためには、自治体が主導するよりも民間主導で実施できるようにするべきかと思います。自治体が主導の場合には、自治体の境を超えて自転車の乗り降りをすることが難しいのではないかと考えます。GPSがあれば比較的簡単にできそうな気もしますが、それを理解する人がどれだけいるか...。

 

 (参考)

www.recordchina.co.jp

jp.wsj.com

www.bloomberg.co.jp

www.chinadaily.com.cn