中国MBAに挑戦した夫婦のその後(仮)

北京大学MBAを修了したサラリーマンのその後や関心を持つようになった中国ビジネスに関する情報について、気ままに記録していきます。

中国にとってのビッグイベント2つについて

先週の金曜日と今週の月曜日に中国にとって2つの大きな出来事がありました。

1つはアリババグループのニューヨーク(NY)株式市場への上場です。

アリババグループは中国最大の電子商取引業者で、「淘宝網」と「天猫(T-mall)」を運営し、オンライン支払いサービス「支付宝(Alipay)」も有する超巨大企業です。

創業者のJack Maこと馬雲は超有名人であり、北京の長江商学院というビジネススクールは彼が卒業生に名を連ねていることが1つのセールスポイントにもなっているほどです。

この上場に関しては昨年から既に北京大学の授業でも話題になっており、アカウンティングやファイナンスの授業でも取り上げられていました。また、現在私が取っている"Corporate Risk Management"でもこの上場についてはトピックの1つとして取り上げられ、以下の動画が参考資料として扱われました。

Jack Maの経歴については多くのサイトで述べられている通りで、かつては英語の講師などもしていたようで、だから上記の通り英語が非常に堪能な訳です。

この上場は史上最大規模のIPO(新規株式公開)ということで日本でも多くのメディアが取り上げていましたが、中国ではその比ではなく、中国企業による最大の資金調達という誇らしいニュースだけでなく個人的にはJack Maの出世物語の1つの頂点としても世間の関心を集めているのではないかと思います。

個人的にはビッグニュースであることには間違いないのですが、一方でアメリカ側の思惑もこのIPOを一大イベントに仕立て上げることに一役買っているのではないか、と思っています。

現在アメリカの株価は史上最高値を更新し続けていますが、正直そのドライビングフォースが私にはよく分かっていません。まぁ景気なんて人々の気分によるものも大きいのだと思いますが、それを継続するための材料が乏しくなってきたところに都合良くアリババグループのIPOが舞い込んできて、それをメディアを使ってうまく祭りに仕上げた...なんて見方もできるかな、と。

少し似た見方をしている記事もありますし。

ともあれ、このIPOにより莫大な資産を手にしたJack Maが今後どのようなビジネスや社会貢献を展開していくかは、注目していきたいと思います。

もう一つは、月曜日に発生した香港の学生による大規模ストライキです。

こちらは逆にあまり中国本土のニュースでは報道されていないのですが、香港および日本のニュースでは大きく取り扱われています。

事の発端は、中国が香港の次期行政長官選挙で民主派候補を事実上排除する決定を行ったことに抗議するためです。香港は1997年7月に英国から中国に変換された後も50年間は現状の体制を維持することにするという、いわゆる「一国二制度」の下で中国大陸とは異なる自治を行ってきました(完全なる自治ではなく、あくまで中国政府の管理下ですが)。本土と比較すると比べ物にならないくらい報道の自由が認められ、政党の結成も自由に行うことができるなど、政治活動も自由です。

今回の件に対して香港の学生は民主主義の維持を主張するため、授業をボイコットして私が通う香港中文大学に集結をして講義を続けるようです。

実は先週からこの件に関しては大学側からmailが何件か届いており、「授業は通常通り行う」旨が伝えられていました。また、私が取っている授業の一部はCentralと呼ばれる金融街で行われているのですが、この地域を別の民主化活動家を中心とした団体が占拠することが予定されており、教室までたどり着けないこともある、との連絡も受けていました(それによる休講は後日make-upされるとのことであまり心配はしていませんでしたが)。

こんなことを事前に聞いていたので、さぞかし大きな騒ぎになるんだろう、と思っていましたが、月曜日に占拠されるとされていたCentral付近に行っても特にそのような混乱は見られず、Apple StoreのすぐそばでiPhone 6を転売している中国人が見られたくらいでした。

また、昨日キャンパスに行く機会があったのですが、最寄り駅の駅前も、キャンパス(私が行ったのは端っこだけですが)も特に何もなく、授業も通常通り行われました。

とはいえ、ニュースではこんな写真も、、、

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10月1日の中国の国慶節の日には更に大きな集会が行われるようで、ニュースでも大々的に取り扱われています。日本でこのような大きな学生運動はおそらく1970年代の安保闘争以降無いと思うのですが、まだこの目で直接見てはいないものの、こういうことが起こっているすぐそばにいることで時代の変わり目にいるかもしれない事を実感できています。と同時に改めて中国という国をマネージすることの難しさを実感します。