中国MBAに挑戦した夫婦のその後(仮)

北京大学MBAを修了したサラリーマンのその後や関心を持つようになった中国ビジネスに関する情報について、気ままに記録していきます。

突然ですが...卒業しました

前回更新したのがなんと3ヶ月前とのこと。

実は前回更新後、中国から全くアクセスができなくなってしまいました。

ブログを他の場所に移そうにも移すことすらできませんでした。

というわけで、超久々の更新でこのようなことを申し上げるのもなんなのですが、私無事に北京大学MBA過程を修了することができました。

正式には本日7/15に修了証明書が発行されました。

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北京に渡ったのが2013年8月3日。

以来710日に渡る留学生活は本日を持って終わりとなりました。

中国に渡る前にやりたかったことでできなかったことはものすごくたくさんありますが、その一方で全く予想もしていなかったたくさんのこともできました。

当初の目標を達成できたかといえばできていないのですが、それでも2年間という時間を投資した甲斐があったと今のところは思っています。

では、どういったことができてどういったことができなかったのか?

そして最後の更新できなかった3ヶ月間はどんな感じだったのか?

MBA留学はすでに終了してしまい、明日から早速現実の世界に戻って働き始めなければならないのですが、自分のためにも時間をかけて振り返っていきたいと思います。

今後は仕事の関係で若干更新が不定期になることとは思いますが、しばらくこのブログは更新していく予定です。

中国の環境問題について

最近、論文を書くにあたって興味深い書籍を読みましたので紹介いたします。


中国汚染の真相 「水」と「空気」で崩れる中国 (社会)中国汚染の真相 「水」と「空気」で崩れる中国 (社会)
(2014/08/22)
富坂 聰

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著者

著者(こちら)は北京大学への留学経験があり、雑誌の記者を担当された後にジャーナリストになられています。中国関連の書籍を何冊も出版されているエキスパートの方です。

感想

中国で起こっている環境問題の背景、それに対しての中国政府の対応、人民の反応などが詳細に記載されており、私自身が北京に住んでいる間に起こったことで知らなかったこともあり、「こういうことだったのか」ということを改めて認識させられ、いい勉強になりました。現地の記事の引用が多く、もう少し現地インタビューなどの一次情報があればもっと迫力があったのかもしれませんが、他の情報と比較すると十分裏事情まで書かれていると思います。私の経験した事例についても書かれていたことが納得感を高めてくれたのかもしれません。

例-1

例えばこちらの書籍によりますと、今話題の(最近は感度がにぶくなってきましたが)PM2.5が中国政府においても積極的に取り上げられるようになったのは昨年の春以降のことだそうで、そのきっかけとなったのは、2013年10月、中国北部で石炭による暖房が解禁され、昼間晴れているにもかかわらず視界が暗くなったことがきっかけだそうです。その頃私は北京におり経験していますが、まさかあれが政府が危機感を覚えるきっかけとなっていたということは気づきませんでした。

思えば書籍にも記述されていますが、北京に着いた当初はなんとなくPM2.5が濃いような気がして私が日本から持ってきたマスクを持って出かける日でも北京市民はほとんどの人がマスクをつけていなかった記憶があります。とはいえ、その後もマスクをつける人が若干は増えたような気もしますがまだまだマイナーです。そして、今ほど大気汚染に関するニュースを頻繁に目にすることはなかった記憶もあります。

例-2

また、私は以前水関連の仕事をしていたことがあるため、中国、特に北部の水事情が非常に悪いということは知っていました。ですが、住んでいるアパートは水をふんだんに使うことができ、これまで節水の注意を受けたことがなかったために「意外と普通に使えるじゃん」と思っていました。ですが書籍で触れられていますが、北京の水事情はひどく、長江の川の水を北部まで持ってくる「南水北調」プロジェクトの一部が完成したとしても問題の解決には至っていないようです。

以前北京に住んでいるクラスメイトにも話を聞いたことがありますが、「水がない」という事実を知っているものの、私と同レベルの現状認識しか持ち合わせていないようでしたので、少々油断していました。はっきり言ってやばいレベルです。

2年近く住んで、来る前のイメージとは異なり「北京、わりかし住めるじゃん」と思っていましたが、こちらにいる方が見えないことも多くなる、そんなことを感じさせてくれた1冊です。

大陸に住む日本人数とMBA学生の数

私が中国に来る以前の2012年9月に発生した反日デモ以降、中国に住む日本人の数が減少しています。

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(Consular Policy Division, Consular Affairs Bureau, Ministry of Foreign Affairs of Japan)

併せて中国におけるPM2.5による大気汚染の深刻化が日本において報道されるようになったこと(実際目に見えてひどくなり始めたのもこのころらしいですが)、中国の経済成長減速に対する懸念、シャドーバンキングなど金融に対する不安などが高まったことも影響していると思います。

直近のニュースでは、シチズン広東省の生産工場を閉鎖したことが話題となっています(こちら)。

幾つかの情報を併せて読んでみると中国からの撤退と中国にとどまり続けるべきとの意見とでは、撤退を勧める意見の方が多い気がします。

その流れを受けてか、私が通う北京大学・光華管理学院MBAの日本人もClass of 2016(私の1つ下)はゼロです。Class of 2017以降については何人かの問い合わせを頂いており、皆さん中国大陸、中でも北京でMBAを取る際には北京大学清華大学のどちらかを志望されていますが、それでも北京大学のClass of 2014は日本人4人、清華大学のClass of 2013は日本人2人いたことを考えると、日本人学生の数は減少の一途をたどっています。

その一方で、香港3大学のClass of 2016の日本人学生の合計は10名と過去最多となったそうです。現在の香港の経済が大陸に相当依存している状況を考えると、大陸MBAの学生数が増えない原因は大陸の経済環境や環境汚染を含めた住環境の問題ではなく、教育の質の問題、もしくは認知度の問題、情報不足の問題であると言えそうです。

教育の質

私自身も経験しましたが香港の方が実務経験者が多く、より生々しい講義が経験できる点、より広く世界のトピックを扱う点については優れていると思います。また学習環境なども非常に優れており、学生が議論しやすい空間づくりがMBAビル、教室、図書館などあちこちに施されていると思います。

情報不足の問題

中国の大学に共通していることかもしれませんが、発信の半分以上が中国語であることから、発信する情報量が通常と比べて半分になってしまう気がします(同じ労力しか割かないと仮定した場合)。

より海外に積極的に情報発信をしていくことが大切でしょう。最近、どうやっているのか知りませんが、Linkedinに加えて、中国では使用することができないFacebookこちら), Instagram, Youtubeこちら)でも発信を行っています。

認知度の問題

それが広く周知された結果、Financial TimesなどのMBAランキングでも高く評価され、香港3大学はともにTOP 30に入っています(CUHKは昨年ランク外となりましたが今年は復帰しました)。

北京大学は昨年は59位と健闘していましたが、今年は突如ランク外となりました。このランキングは回答者の母数なども影響するようで、他にも多くの有名な大学がランク外になったりしているので100%鵜呑みにすることはできませんが、MBAオフィスにとっては格好の宣伝材料でありますし、ランクを上げることで認知度が上がることは間違いないと思います。

私は北京の2つの大学についてしかわかりませんが、清華大学と比較して北京大学はプロモーションに不熱心であると感じています。大陸の学生やEMBAにおいて十分な収益をあげられることも原因かもしれませんが、今後のことを考えるとより留学生を多く誘致できる環境を整えることが求められると思います。それによって中国っぽさがなくなるのもちょっと寂しい気もしますが...。

というわけで、今回は在中日本人の減少とMBA留学生数の相関について少し検証してみました。