最近、よく「なぜ中国MBA?」と聞かれます。
中国MBAについての概要はこちらにまとめてあります。ここでいう「中国MBA」には香港を含みません。しかし、「MBAといえばアメリカで、次がヨーロッパ」というのが常識的な流れです。そんな中で果たして中国を選ぶメリットとは何か?そもそも中国にMBAはあるのか?などなど、関心は尽きないようです。とはいえ、このような質問を受けるように仕向けること自体が既に中国MBAを取る価値だと思っており、「その質問を受けるためです」と答えることもたまにあります。
また、よくよくブログを振り返ってみると「中国MBAについて」や「夫婦で行くメリット」などには触れていますが、私自身の動機について触れたことがおそらくなかったと思います。
というわけで、だいぶ今更感は強いですが今後の人生で私はこの質問を幾度となく受けるはずなのでここで整理するとともに、もしかするとまだいるかもしれないこれから中国MBAを志願する方向けのメッセージとしたいと思います。
1. ビジネス面
大きくは次の2点です。
1) 中国企業台頭に向けた準備
2014年の中国の実質GDP成長率は前年比7.4%と2012年および2013年の7.7%から減速した(出所:Diamond Online 2015年1月23日)ようです。政府の成長率目標は7.5%であり、それを下回ったのはアジア危機のあった1998年以来16年ぶりのことだそうです。
確かに中国の「市場」としての魅力は以前と比較すると相対的には小さくなっていると思います。とはいえ先進国と比較して大きな成長率であり(たとえこの数字が本質を表していないとしても)、そもそもの市場規模が大きいことから各産業においてまだまだ魅力ある市場だと思っています。加えて、アリババや百度、テンセントのいわゆる「 BAT(Baidu, Alibaba, Tencentの頭文字)」だけでなく他の企業も中国国外への進出を図っており、今後は中国国内だけでなく中国国外で彼らと競合し、または協業する機会も増えていくものと考えています。
ステレオタイプな中国企業・中国人のイメージはあるものの、実際に彼らがその通りであるのか、違う場合にはどう違うのか、そのずれを知っておき、自分なりに理解をしておく必要があると思うからです。
実際、一般に言われている「面子」や「关系(Guanxi)」についても、日本で得られる情報以上のことを感じることができました。これまでの記事で触れたこともありますが、どこかの機会でこれらについてもまとめたいと思います。
2) 中国政治経済動向に対する感度を上げる
日本での報道を見ている限り、日系企業の中国からの撤退は2012年以降特に多くなっているように感じます。実際のところについては、今後修論を書くにあたり調査をしていくつもりです。
とはいえ、中国がここまで大きくなってしまった以上、中国の影響を抜きにしてビジネスを考えることは非常に難しいでしょう。直接中国に関与する機会がないとしても、中国きっかけの恐慌は十分考えられますし、そうでなくても中国に形成されている工業製品のサプライチェーンだけを考えても、その一部が欠けることによる日系企業への影響は大きいでしょう。
中国の政治経済の動向に対して、これまで以上にアンテナを張る必要があり、彼らが発する情報を可能な限り正確に読み取ることに慣れる必要があり、そのきっかけとして中国でのMBAはいいきっかけになると思います。
実際、昨年でいうとアリババのニューヨーク株式市場へのIPO、上海-香港間の株式市場接続、そしてOccupy Centralなどは中国や香港にいるからこそ現地の情報および現地人との会話ができたのであり、日本やアメリカにいたのではこのようなニュースに触れることはなかったでしょう。
2. プライベート面
1) 妻が中国人だった
2) 妻も中国大陸MBA志願
当ブログの一番最初でも触れたと思いますが、これらの要素も多少は影響しています。
3) 投資の機会
ビジネス面でも触れましたが、政治経済の動向を捉えるということはすなわち投資機会を探ることにも直接・間接的に繋がってきます。今後これまでのような株式市場の急成長は見込めないものの、日本の株式市場が海外投資家のおもちゃのようになっている現在、リスク分散として中国・香港の株式市場への投資も検討すべきでしょう。
正直、留学中に行われた「黒田バズーカ」と言われる金融政策は多くの留学生にとって非常に大きなネガティブインパクトを与えました。その一方で私たちは人民元預金も随分前から行っており、そこでなんとかヘッジできた部分もあります(ごくわずかですが)。改めてリスク分散の大切さを身を持って経験することができました。
その他、中国MBAの経験者のご意見は、「アジアでMBA――もっと気軽に、もっと成長できる場所へ」に詳しく記載されています。
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宣伝ぽくなりますが(私は執筆していないので1銭も入ってきませんよ)、様々なケースがコンパクトにまとめられているので、こちらも是非是非参考にしていただければ。